この記事を書いた人:パピ
小樽の朝里川温泉に、散歩できるほどの日本庭園を持つ宿があります。おたる宏楽園(こうらくえん)といいます。東京の後楽園と読みは同じで、漢字がひとつ違う。朝里インターを降りてすぐの、静かな一軒宿です。
わが家はここに、季節を変えて何度も泊まっています。春はしだれ桜、夏はバラ、秋は紅葉、冬は雪。四季ぜんぶ見ました。そして四季ぜんぶ良かった、というのが正直な感想です。
札幌から車で1時間かからない場所に、こんな庭のある宿がある。その一点だけで、何度も行く理由になっています。

この宿のポイント3つ
- とにかく庭。池と飛び石と灯籠と苔。散歩できる規模の日本庭園が宿の敷地の中にあって、春はしだれ桜、夏はバラ、秋は紅葉、冬は雪と、行くたびに違う顔をしています
- 部屋に露天風呂がある。時間を気にせず入れるので、子連れにはこれが効きます
- 夕食は和食の懐石が部屋に運ばれてくる。移動しなくていいうえに、料理がとてもおいしい
まず、庭の話をさせてください
チェックインして部屋に荷物を置いたら、まず庭に出ます。池のまわりをぐるりと歩けるようになっていて、飛び石があり、石の橋があり、灯籠が点々と置かれている。手入れが行き届いていて、荒れているところがありません。

この庭のいいところは、季節ごとに主役が入れ替わることです。春はしだれ桜が枝を垂らし、夏はバラが咲き、秋は紅葉で庭全体が赤くなり、冬は雪をかぶった松と灯籠だけの静かな景色になる。同じ場所を歩いているのに、記憶の中では四つの別の庭になっています。

錦鯉に餌をやる時間
庭の池には錦鯉がいます。餌は宿が用意してくれていて、100円。池にかかった木の桟橋まで行くと、人の気配で鯉が寄ってくる。餌をやると、白と赤と黒の背中が水面でぶつかり合って、しばらく動けなくなります。

この宿でむすめが何をいちばん覚えているかというと、たぶん温泉でも食事でもなく、この鯉です。小さいころは「もう一回だけ」を何度も繰り返して、なかなか部屋に戻りませんでした。100円でこれだけ時間が稼げるなら安いものです。

夜、同じ庭が別の場所になる
秋に泊まったときの本番は、じつは夜でした。日が落ちると庭がライトアップされて、紅葉が下から照らされます。昼に歩いたのと同じ場所なのに、水面に映る色が変わるだけで、まったく違う庭に見える。

庭に面したところにウッドデッキの席があって、大きなパラソルとソファが置いてあります。ここに座って、ライトアップされた庭を眺めながら飲む時間がとても良かった。北海道の11月の夜なので当然寒いのですが、それでもしばらく動きたくなくなります。
部屋の露天風呂は、メゾネットじゃないほうがいい

本館の部屋には、それぞれ露天風呂が付いています。窓の外が岩づくりの湯船になっていて、好きな時間に入れる。
ここから先は、泊まってみて分かった話です。部屋にはメゾネットのタイプとそうでないタイプがあって、露天風呂からの景色は、メゾネットではないほうが良いと感じました。メゾネットは位置が高いぶん、外から見えないように囲いがしっかりしていて、湯船から庭がほとんど見えません。上下に分かれた部屋そのものは楽しいのですが、「風呂から庭を見たい」が目的なら、メゾネットではない部屋を選んだほうがいいです。
そして子連れの話をすると、部屋に風呂があるだけで悩みがひとつ丸ごと消えます。大浴場の時間を気にしなくていい、混んでいる時間を避けなくていい、寝る前でも起きてすぐでも入れる。小さい子を連れて温泉宿に行くときの「風呂をどのタイミングで入れるか問題」がなくなるのは、値段の差以上の価値がありました。
夕食は部屋に運ばれてくる
夕食は和食の懐石で、部屋出しです。食事処まで移動しなくていいので、子どもが途中で飽きても、眠くなっても、そのまま布団に転がせる。これも子連れには効きます。
そして肝心の料理が、とてもおいしい。「部屋出しだから簡素」ということが一切ありませんでした。
気になる料金の話
わが家が通っていたころで、1泊あたり10万円しないくらいでした。部屋に露天風呂が付いて、夕食が部屋出しの懐石で、と考えると、当時としては納得のいく値段でした。
ただ、ここ数年はどこの宿も料金が上がっているので、いまも同じ金額とは限りません。最新の料金は予約サイトで確かめてみてください。
何度も行っているのは、庭と部屋の露天風呂と部屋出しの懐石が、まとめて手に入る宿がほかにないからです。記念日や、どうしてもゆっくりしたいときの一択、という位置づけになっています。
子連れで泊まってどうだったか
- 庭が遊び場になる。走り回るような場所ではありませんが、鯉と飛び石と落ち葉で、子どもは十分もちます
- 部屋の露天風呂と部屋出しの食事で、時間に縛られない。これが最大の利点でした
- 札幌から近い。朝里インターを降りてすぐなので、移動が短いぶん、着いてからの時間を長く使えます
- 落ち着いた宿なので、走らせない配慮は要ります。廊下ではしゃぐタイプの宿ではありません
次に行くなら
宿の公式サイトに「工事のため、庭園の一部を立ち入り規制しております。」と出ています。期間と範囲は書かれていません。この記事は庭が主役なので、紅葉の時期に庭を目当てに予約するなら、予約の前に公式サイトか宿に確認してください。
- 部屋は、露天風呂から庭を見たいならメゾネットではないタイプを選ぶ
- 紅葉なら11月上旬。北海道は本州より早いので、11月下旬だと落ちきっています
- 夜のライトアップは、日が落ちてすぐより少し遅い時間のほうが色が濃く出ました
- 庭を歩くので、履き物は歩ける靴で。飛び石と落ち葉で足元が滑ります
- 鯉の餌は100円で宿にあります。小銭を持って庭へ
この宿の基本情報
- 宿:おたる 宏楽園(北海道小樽市新光5丁目18番2号/朝里川温泉)
- アクセス:札幌方面から車で1時間弱、朝里インターを降りてすぐ
- 部屋:本館は露天風呂付き。メゾネットタイプと、そうでないタイプがあります
- 食事:夕食は和食の懐石、部屋出し
- 庭:池と飛び石と灯籠のある日本庭園。春はしだれ桜、夏はバラ、秋は紅葉、冬は雪。秋の夜はライトアップ
- 費用:わが家が泊まっていたころで1泊10万円弱(家族3人・夕朝食付き)。現在の料金は予約サイトで要確認
- チョコ:同行なし
- メモ:鯉の餌は100円。夜の庭は冷えるので上着を一枚



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